USPCが出しているデックで有名なのは、ご存知BicycleとTally-Hoですが このデックも忘れちゃいけません。元々はBicycleとシノギを削ってきたライバルデックなのです。 ちなみに、Hoyleって人名なの知ってました?
17世紀から18世紀にかけて活躍したカードゲームの名人にエドモンド・ホイルという人物がいました。
「ホイスト」と呼ばれるカードゲームにおいて、どのように戦えば勝てるのか?という論文を当時出版し、 その本はまたたく間に人気となりすぐに売り切れます。今で言うゲームの攻略本のようなものですね。
海賊版が出るほど流行したその論文のおかげで、いつしかHoyleはカードゲームの権威として知られるように。 ホイスト以外のゲーム(チェスやバックギャモン)に関しても、数々の論文を出版します。このことから、いつしかテーブルゲームをする時は 「彼の書いた文章に従うべき」との考えが浸透し、いつしか「ルールそのもの」をHoyleと呼ぶように。
この現代でも「Hoyle」というとカードゲームの教則本を指したり、「ルールに忠実に従う」という意味の慣用句的な使われ方をしています。
そんな彼の名を関したHoyleデック。 現在はUSPCから発売されていますが、元々は別会社の製品でした。
ブラウン&ビゲロー(Brown&Bigelow)という会社は、1927年にこのHoyleのデックを製造します。 この会社は今も現存する印刷会社で、Hoyleを作っているのはここのカード部門を担当する子会社でした。 デック発売から48年後の1975年、この子会社は「Hoyleプロダクト」と社名を変えます。 このデックがいかに売上に貢献していたかを物語っていますね。
しばらくの間、このHoyleデックはUSPC社のBicycleと売上を競う存在として市場に君臨します。 しかし2001年、USPC社はブラウン&ビゲロー社からこのHoyleプロダクトを買収。 それからは、HoyleブランドはUSPCで製造・販売されるようになりました。
前面
背面
Bicycleと似ているようで違う独特なデザインのケース。 USPC社のカードはカードの表面加工のことを「finish」と記載していますが、 このデックは「PLASTIC COATED」と少し違った書き方をされています。
ケース背面は、カードの裏側と同じデザイン。
通称シェルバックと呼ばれる模様です。Bicycleとどことなく雰囲気が似ている気がしなくもない。
カードは基本の52枚、そしてJokerが2枚。こちらはそれぞれ別のデザインになっています。 道化師が描かれているJokerの方はルビンの壺のような、 不思議なだまし絵的なデザインになっていますね。
残り2枚は広告カード。こちらはBicycle Standardに付属しているのと同じものですが、 色がHoyleデックのバックデザインと同じ、ワインレッドに近い色合いになっています。
絵札のデザインもBicycleとは違い、独特の雰囲気があります。 よく見ると、インデックスのフォントも異なっています(Qを見るとわかりやすい)
カードの裏面は、貝が描かれたデザイン。先程も少し触れた、いわゆる「シェルバック」と呼ばれているものです。 写真では少しわかりにくいですが、赤色がちょっとワインレッドに近い色になっています。
上から
斜めから
エンボス加工はBicycleと同じ様な感じに見えます。 ただし、例の表面加工が違うせいか、滑りは少しサラサラしています。ファンもしやすいです。
カットの仕方が違うのか、Bicycleと比べてとてもサラサラしてます。 ツルツルの手前ぐらいのサラサラ(伝わるのでしょうかこれ・・・笑)
カードの薄さは、HoyleデックのほうがBicycleと比べて2枚分厚いです。
総評としては以下の感じです。
※星はレベルが低いという意味ではありません。またこれらはすべて個人の見解です
Bicycleと同じようでいて、ちょっと違った特性を持っているHoyleデック。 やや硬めの紙質に、独特の滑り具合を感じることが出来ます。 House of Playing Card社のNOCシリーズのヌメッとした感じが苦手な方は、このHOYLEのフィニッシュは気にいるのではないかと個人的に思いました。
調べていると、このHOYLEにも色々なバージョン・デザインが有るようです。 Beeの様なダイアモンドバックのボーダーレスのデックがあったり、 中にはプラスチックで透明なもの(!)もありました。 興味がある方はぜひ色々検索してみてくださいませ。
BicycleともTally-Hoとも違う感触を試したい人は、一見の価値アリです(値段もお求めやすいです)