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Deck review

日本人デザイン、細部に至るこだわりに魂を感じるBicycle OWL

日本人デザイン、細部に至るこだわりに魂を感じるBicycle OWL

世の中にBicycleのシリーズはたくさんありますが、日本人デザインのものもいくつか存在します。 その中でも群を抜いてデザインにこだわりを感じるデックがあります。
それが本根康之さんが制作されているBicycle OWLです。

Overview: 本根 康之さんについて

みなさんはモノリスソフトというゲーム会社をご存知でしょうか? 会社の名前をご存じなくても「ゼノブレイドを作っているゲーム会社」といえば分かる人も多いのでは。 最近も、大乱闘スマッシュブラザーズのゲームにゼノブレイド2のキャラクターが参戦することで話題になりました。

そのモノリスソフトで、ゲームクリエイター・アートディレクターとして活躍しておられるのが本根康之さんです。 現在は同会社の取締役として、経営にも携わっておられます。

その本根さんはモノリスソフトの活動とは別に個人でもクリエイター・アーティストとして、精力的に活動をされておられます。 絵を描かれたり、木工作品を作られたり、楽器を製作されたり、時には曲を作られたりと非常に多才な方です。
(個人の活動時はホンネサンというお名前も使っておられます)

公式サイト
http://honnesan.seesaa.net/

Bicycle OWLについて

そんなホンネサンが作られた作品の中に、なんとトランプがございます。 それが今回ご紹介するフクロウがデザインコンセプトになっているBicycle OWLです。

個人で製作されたとは思えないほど、非常に細部までこだわりを感じられる物になっております。 また、制作に至る裏話が本根さんご本人のブログにご記載されておりますので、ご紹介しておきます。良ければぜひご覧になってくださいませ。

早速、ご紹介していきましょう。

外観

前面 箱前面

背面 箱背面

正面には本根さんが自らデザインされたフウロウの絵が描かれております。 ステンドグラスを思わせるデザインで、凛々しい横顔が見えます。
よくみると、正面下部に「YASUYUKI HONNE」の文字が見えますね。

裏面は後ほどまた詳しくご紹介しますが、カードのバックデザインが印刷されています。 夜の闇に紛れて、獲物を狙うフクロウをイメージされているのでしょうか。 神秘さと怖さと、またどこか厳かな雰囲気を感じます。

クロージャーシール クロージャーシール

よくよく見てみると、なんとクロージャーシールのデザインもオリジナルです。 我々がよく知っているUSPCのスペードマークではなく、このOWLデック用にデザインされたスペードです。
剥がすのがもったいない・・・!でもレビューなので開けていきましょう!

カードフェイス

カード表面

カードは基本となる52枚、そして配色が違うJokerが2枚。 ブランクカードが1枚に、本根さんのWebサイトが記載された広告カードが1枚入っています。 Jokerは夜と夕方を表現されているのでしょうか。コートのようなものを着たフクロウが獲物を探しているように見えます。

エースと絵札はすべてデザインが書き起こされており、よくみるBicycleの絵札とは全く違うものになっています。 かっこよくも愛らしいフクロウがそれぞれデザインされています。

スペードとダイヤ ハートトクラブ

ホントに1枚1枚が手書きでデザインされています!これを書くのに一体どれほどのお時間がかかったのでしょうか。 その熱量に本当に敬意を表します。

絵札全員集合

デザインの細かさに驚いていたのですが・・・実は絵札だけではなく、このデック1枚1枚のカードが細かく描き上げられていることに気づきます。

数字とマークデザイン

各数字とマークの一つ一つがデザインされ、カードの1枚1枚に本根さんの魂が宿っているかのようです。 インデックスだけを並べても、このデックの存在感を感じることが出来ます。

全カードインデックス 全カードインデックス2

カードバック

スプレッドした画

カードの裏面は、ケースの背面にも印刷されていたフクロウの目が中心に置かれた神秘的なデザインです。 少し怖いような、それでいて吸い込まれるような、独特の雰囲気を感じます。

スプレッドした画2

バックデザインを見つめていると、沢山のフクロウが隠れていることに気づきます。 ボーダー(白枠)の幅は一般的な他のトランプと比べると、少し狭くなっています。

・・・そしてみなさんお気づきになられたでしょうか?このバックデザイン、フルカラーなんです。 ここでBicycleやTally-Hoのバックデザインを思い出してください。あれらはみんな単色ですよね? それがこれはフルカラー。きっとコストもそれなりにかかったのではないでしょうか。

カード表面

上から 表面のエンボス加工

斜めから 表面のエンボス加工

USPCの製のBicycleということもあり、エンボス加工はバッチリ。 ファンも問題なく広がっていきます。

ファン

カードの側面

側面

側面は毛羽立ちもなくサラサラ。ファローも問題なく入ります。

カードの薄さ

薄さ

StandardのBicycleと比べたところ、1枚分だけ厚いです。

総評

総評としては以下の感じです。
※星はレベルが低いという意味ではありません。またこれらはすべて個人の見解です

  • 価格 - ★★☆☆☆
    • 税込1,870円。値段だけを単純に比較すると、店頭で並んでいるBicycleと比べて割高にはなります。ただ、企業ではなく個人のカスタムメイドかつこれだけ手間がかかっていることを考えると、安く感じます。むしろ、デザインも込みで考えると破格なのではないでしょうか。
  • 薄さ - ★★☆☆☆
    • Bicycleとより、1枚厚いです。少しだけ
  • コシ - ★★★☆☆
    • 硬さは通常のBicycleと同じぐらい。適度にしなり、適度にコシがあります。
  • 滑り - ★★★★☆
    • よく滑ります。Bicycleと同様にスルスルと広がっていきます。ファンもしやすく、皆さんがよく知るBicycleと同じように扱えます。
  • ファローのしやすさ - ★★★★★
    • 非常に入りやすいです。これはたまたまだかもしれませんが、筆者が初めてパーフェクトファローに成功したのがなんとこのデックでした。
  • カットの方向 - 裏
    • モダンカットです。通常のBicycleと同じだと思っていたので、意外でした。マジック使いにもぜひ。
  • 指先でのカウント - ★★★★☆
    • ピンキーカウントも問題なくできます。ハーマンカウントなどの技法もスムーズに行なえます。

おわりに: 製作の大変さについて

このデックレビューの記事用に撮影をはじめた時、私は同時にとても不安を覚えました。

それは、「こんなに魂を込めて作られたデックの魅力を、自分はきちんと読んだ方に伝えることができるだろうか?」という部分です。 実際にこのデックを手に取ると分かるのですが、本当に細部まで丁寧にデザインされており、1枚1枚カードをめくるたびに感動を覚えます。

プライベートの時間を使いながら書き上げられたこのトランプのことを想像すると、 実際に製品化するまでには相当な執念と根気が予想されます。
絵を書きあげれば終わりではなく、印刷の仕上がりをチェックし、時には修正依頼をすることもあったでしょう。

またカードだけでなく、ケースのデザインやクロージャーシールに至るまでこだわり抜いたデザインを通すことを思うに、 たくさんの時間がかけられたことは想像に難くありません。しかも本業の傍ら、それをやっておられるのです。

そんな生みの苦しみがたくさん込められた、本根さんの分身のような製品を手に取ると「そう易易とレビューを書いても良いのだろうか?」 と私が思ったことは皆さんもご理解頂けるのではないでしょうか。

しかし、これは本根さんだけでなく世の中のデックをデザインする方々全員に共通することだということにも気づきました。 企業・個人関係なく、我々がマジックやフラリッシュ、また普段のゲームで使用するトランプたちには、それを作るに至った人たちの 血と汗と涙が込められているのだと。

サイトでデックレビューを書いてる以上、その要素をよりみなさんへ多くお伝えできれば良いのではないかと、改めて気が引き締まる思いに至りました。

また、本根さんはこのデックで相当大変な思いをされているにも関わらず、 (ご存じの方もいらっしゃると思いますが)更に次回作「Bicycle Future Bar」を製作されていらっしゃいます。

これだけの苦労をしてもまた次回作を作られたということは、逆にそれ以上に得られる尊い何かがデック製作には潜んでいるということです。 機会があれば、ぜひご本人にお伺いしてみたいものです!
また私自身もオリジナルデックの製作に少し興味が湧いてきました。

この記事を読んでもし「Bicycle OWL」が欲しくなった方がいらっしゃいましたら、早めにお買い求めください。 公式サイトのこちらのページにてそろそろ在庫がなくなることが示唆されております。

今触れた「Bicycle Future Bar」の方も、このサイトで後日デックレビューを投稿させていただきます。

引き続き、よろしくおねがい致します!!

PS.
実際にデックを手に取られた方、この記事を読んで興味を持った方、元からファンの方などその他いらっしゃいましたら、 ご本人の連絡先が公式サイトにあるのでご感想をお伝えになってみるのも良いかもしれません。
きっと、ご本人の日々の活力や次なる製作の意欲に繋がるかと思います。