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Deck review

ドイツ版Bicycle?状況を打破した新しいデックPhoenix

ドイツ版Bicycle?状況を打破した新しいデックPhoenix

世界中のマジシャンに愛されているトランプといえばBicycleですが、 それに取って代わるデックをドイツ人が考案しました。果たしてその製作理由とは・・・?

Overview: Christian Schenk氏について

みなさんはマジシャンであり、デザイナーでもあるクリスチャン・シェンクという方をご存知でしょうか?

元々1997年からデザイナーとしての人生をスタートした彼ですが、2004年からマジックに関わる仕事を開始。 ストリッパーデックを作ることから始まり、本格的にマジックの勉強をした彼は、マジック協会のメンバーになります。

トランプを製作するデザイナーとしての顔と、実際に演じるマジシャンとしての顔を併せ持つ彼は、 いつしかカードのスペシャリストとして「トランプ業界の隅から隅まで知る存在」となります。

製造業者ごとが持っている長所と短所、その秘密を知り尽くした彼は、 やがてCard-Sharkという会社を立ち上げます。 このサイトの名前、聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

Phoenixデックについて

そんなカードのスペシャリストのクリスチャン・シェンク氏が作ったのが、このPhoenixデックになります。

当初、彼はBicycleを使ったギミックデックの作成を試みますが、USPCのレギュレーションに阻まれました。 そのレギュレーションというのが、「Bicycleのバックデザインを変更してはいけない」というものです。

いわゆる天使が自転車に乗っているあの有名なデザインを変更してはいけないということです。 それは途中で色を変えたり、半分がフェイス面になっていたり、そういったいわゆる「ギャフカード」が作れないことを意味します。

シェンク氏は、「ならば自分が自由にデザインできるデックを作ろう!」と方針転換を行います。 そこで2009年に誕生したのがPhoenixデック。トランプを研究し尽くした彼が、「マジックに使えて自分で自由にデザインを管理できる」 ことを叶えることができるデックを完成させました。

今では質とデザインの良さから、世界中のマジシャンにも使われるように。

本日は、そんなPhoenixデックをご紹介していきます。

外観

前面 箱前面

一瞬ぱっと見ると、Bicycle?と思うようなデザイン。しかしよく見ると全然違いますね。 確かに構成はオマージュが伺えます。 しかし、力強いフォントで書かれたPhoenixの文字と、スペードのエースにはその名の通り「不死鳥」が印刷されています。

背面 箱背面

背面にはカードのバックデザインが。植物が生い茂る中に不死鳥(=Phoenix)が飛んでいるというデザインになっています。

カードフェイス

カード表面

カード構成は基本の52枚、そしてJokerは大きく印刷された不死鳥のデザインが。 こちらはデュプリケイトではなく、対称的なデザインになっています。 その他にはブランクフェイスが1枚、そしてトランプを使ってあそべるビンゴゲームのカードが付随しています。

スペードのエースは真ん中に自由の女神ではなく、不死鳥が描かれています。 その他の絵札のデザインはBicycleと同じですね。

カードバック

スプレッドした画

カードのバックは植物?もしくは炎?が周りに彩られ、その中心に向かい合うように飛んでいる不死鳥の姿が描かれています。 Bicycleのバックのような、点対称の絵になった非常にかっこいいデザインです。

カード表面

上から 表面のエンボス加工

斜めから 表面のエンボス加工

エンボス加工はしっかり入っています。 もしかしたらロット差のせいかもしれませんが、気持ちエンボス加工はBicycleよりも強めな気がします。

カードの側面

側面

側面はサラサラしています。綺麗にカットされているのがわかります。

カードの薄さ

薄さ

カードの薄さはBicycleと同じです。デックをディーリングポジションで持ったときの感覚は違和感ないかと思います。

総評

総評としては以下の感じです。
※星はレベルが低いという意味ではありません。またこれらはすべて個人の見解です

  • 価格 - ★★★★☆
    • 500円〜700円ぐらい。世界中で使われているだけあって、量産されているのでしょう。とても良心的な価格です。
  • 薄さ - ★★★☆☆
    • Bicycleと同じ薄さです。Bicycleのカードを普段使っている方は、こちらに乗り換えるのもアリかも。
  • コシ - ★★★☆☆
    • 少し柔らかめです。しなりやすい。
  • 滑り - ★★★☆☆
    • 問題なく滑ります。ただBicycleと比べて、少しドライな印象です。スルスルというより、サラサラと広がります(伝わるのかこれ)
  • ファローのしやすさ - ★★★★☆
    • 問題なく入ります。ただし、カードの柔らかさと滑りの感覚が違う関係か、入る感覚はBicycleとは少し異なります。
  • カットの方向 - 裏
    • モダンカットです。ファローする時はご注意ください。
  • 指先でのカウント - ★★★☆☆
    • ピンキーカウントは問題なく行えます。ただし、モダンカットの影響で少しだけカードを捉えにくいかもしれません。ただこれは単に慣れの問題かと思います。

おわりに

Bicycleのバックデザインの問題から、作られたPhoenixデック。普通のマジシャンなら別のカードを探すか、自作でギミックカードを作るのが一般的な解もしれません。 しかし、シェンク氏は「じゃあ別のデックを作ってしまおう!」となるのが素晴らしい行動力だと思いました。

Card-SharkのWebサイトに行くと分かるのですが、氏にとってこのデックがとても特別な存在であることがサイトのデザインからもわかります。 実際に、世界中のマジシャンが使用していますし、日本のマジシャンでも使用されてる方が大勢おられます。

「普段BicycleやTally-Hoをメインに使ってます!」という方は、一度触れてみるのも良いのではないかと思います。 さほど違和感なく使用できるのと、Phoenixデックが持っているちょっとした違いも体感できます。 もしかすると、「こっちのほうが使いやすい!」と思う方も結構いらっしゃるかもしれません。

シェンク氏のCard-Shark(すごい名前ですよね)のサイトもぜひ一度ご覧くださいませ。

Card-shark
https://www.card-shark.de/