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Interview

決断に時間は掛からなかった。脱サラしてマジシャンになるまで

決断に時間は掛からなかった。脱サラしてマジシャンになるまで

THOMAインタビュー後編!今回もEDENデックの話からマジシャンのお仕事まで聞かせていただきました。ぜひ御覧くださいませ。

Overview

前回のインタビューでは、EDENデックのコンセプトについて熱く語っていただいたTHOMAさん。今回は、実際に製作がスタートしてからの様々な苦労話をお聞き致しました!

前編:EDENデックのコンセプト設計について
・後編:デック製作の裏話・マジシャンとしての想い ※当記事

お忙しい中、たくさんの裏話を語って頂いたので、余すことなくご紹介致します!
前編・後編ともに10,000文字Overのインタビュー記事。どうぞ最後まで目を通して頂けますと幸いです。

THOMA - マジシャン
元々デザイナーとして社会人をスタートしたが、脱サラしマジシャンの世界に。六本木のマジックシアターにて、たくさんのVIPにマジックを披露する。数多くのメディア出演のパフォーマンスに加え、マジック指導の活動にも精を出す。最近では製作活動にも幅を広げ、発売されたEDENデックは個人製作でありながら爆発的なセールスを記録する。常識にとらわれない精力的で大胆な活動は、様々な人を魅了している。

公式サイト
http://www.thomagic.tokyo/

EDENデック、赤と青

ーーー今回、赤版を作るにあたり、青版から改良された部分があったかと思います。その取り組んだ内容(青版の時に出来なかったことやJokerの話)を改めて教えて頂けませんでしょうか

マジシャンTHOMAさん(以下、THOMA):今回大きく2つの要素「紙質」と「デザイン」を変更致しました。まず、紙質についてお話致します。

赤デックの紙質について

THOMA:これは先程もお話しましたが、赤デックを作るタイミングで紙質が刷新されました(前編参照

ーーーCasino StockからGermany300 Stockという紙に変更なさったのですよね?

THOMA:はい、そうです。前回の青デックの時に使用したCasino Stockが、もう赤デックを作るときには取り扱っておらず、選択肢になかったんですね。なので、新しい紙を一から選ばないといけなくなりました。これまで台湾製のカードは「硬め」か「柔らかめ」の2択でしか選べなかったんです。しかし、丁度その中間のものでさらに薄いものを発見することができ、そちらに変更しようと決めました。 私個人としては「硬め」が好きなのですが、やはり手が疲れやすくはなってしまうのではと思いました。そして、どんな時でも万人が使いやすい性能の方がやはり良いだろうと思いました。なので、紙質が変わってしまったのは不可抗力だったのですが、結果的にはとても満足しています。

ーーー赤デックはカットも綺麗ですし、紙の質もフィニッシュももう全て使いやすくて凄いと思いましたが、そういったご事情が逆に改良を促す結果につながったんですね。でもそのおかげもあり、我々はこんなに良いデックに出会うことが出来ました。

THOMA:ちなみに・・・実はロット的にも当たりだったと思っています。

ーーーなんと!ということはTWPC社製のなかでも、このデックは特に良いということですね!素晴らしい・・・

デザイン

THOMA:次にデザインについてお話させていただきます。EDEN青の時も充分に満足いくものを仕上げることができたのですが、細かなスート(=4つのマーク)の形やJokerの表現性など、もっと頑張れる余地はあると完成後に思いました。 赤版を作るにあたってスートやJokerのインデックスは、よりスタイリッシュに変更しています。それとスペードのAも、青の時に仕上がってきた実物を見て「余計な文言を省く」「輪郭線を強くする」などの微調整をしています。

ーーー全体的にもっと見やすく、マジック時に映えるような調整をしたといった感じでしょうか。

THOMA:はい。と言っても微調整がメインで、ファンやカルなどを比べてみないと気が付かない程度の微調整ですが…。そして、もっとも思い入れがあるのはやはりJokerでしょうか。よく昔からあるジョーカーのデザインと酷似しすぎては困りますし、デザイン性の低いものを簡単に出しては売り物にならないとも考えました。 例えば演者、つまり私ですね。それをモチーフにするなど安易なデザインには個人的にしたくありませんでした。・・・とはいえ、人をデザインするにはやっぱり時間もかかります。でもそれでも、0から手書きで作ろうと決めました。 ・・・その決心をしたのは・・・実は赤デックを入稿する1週間前のことでした(笑)

ーーーなんと!もう入稿直前ですね!それは間に合ったんでしょうか?・・・と実際に商品があるので間に合ったのは理解しておりますが・・・すごい

THOMA:ギリギリでしたけどもなんとか間に合いました。バイシクル、Bee、アリストクラット、クラブカジノなどのJokerを観察し、追加料金がかからない既存の色で再現できる最適な配色を探しました。その上で、演技上支障のない上下対称デザインにするなど、理想はなかなか遠かったです。・・・しかし不思議と、追い込まれると良いものができましたね。こればっかりは今まで生きてきた中で積み上がってきた感性とタイミング、そして感情のコンディションもあると思いますので、良いアウトプットにつながってラッキーだったなと思います。

ーーー締め切りギリギリの状況が、THOMAさん自身を奮い立たせ、さらに良いものを作るパワーにつながったということですね。マジックだけでなく、デザインでもハイパフォーマンスを発揮できるなんて・・・すごいです。

THOMA:ありがとうございます。同じ様な状況に、もし次またなったらどうなるか?はわからないですが、少なくともあの時はいいコンディションになっていました。

当初初めて書き起こされたJoker

ーーー夏休みの後半になると、宿題をこなすスピードが上がった経験が昔ありましたが、あれと似ている感覚なのかもしれませんね(失礼)

THOMA:(笑) 確かに!

ーーーちなみに私、今お話に出た赤版のJokerのデザインがとても可愛くて、個人的にすごく気に入っております。今すでにお話しいただいた部分ではあるのですが、このJokerを生み出すに至った苦労話、例えば・・・「点対称にこだわった点」などがありましたら、教えていただきたいです!

THOMA:全然構いませんよ!青の時のJokerは、シンボルを真ん中に1個置くだけでしたね。これはこれで、良くも悪くもクセがなく気に入っています。ただこれは私自身がずっと抱いていた理想として、人を描いたほうが良いなという思いもありました。製作に関わって頂いたインポッシブルカンパニーのPonta the Smith氏も、「Jok"er"なら人(生物)であるほうがしっくりくる」 とおっしゃっていました。

ーーーああ、なるほど!確かに”er”がつくと、「〜する人」という意味が付きますよね!たしかに。

THOMA:そうなんです。かと言って新たなジョーカーとなると、主張が強すぎてもいけないと思いました。何故なら主張の強いカードは、 カード自体が観客の注意力を悪い意味で引きつけてしまうと考えた からです。それでいて、逆に弱すぎては、「Joker」の持つ特別な意味合いが薄れてしまいます。

ーーー難しいところですよね。その絶妙なところを探さねばいけないというジレンマと戦うわけになるわけですし

THOMA:そうです。コンセプトに沿ったデザインの必要があるということと同時に、上下対称でないと演技中にディスプレイを気にする必要も出てきます。個人的に好きなJean Pierre VallarinoのSandwich Expressのように、反転してしまっては困るものもあります。

ーーー・・・ああ!なるほど!たしかにそうですね!あのトリックは・・・そうですね。向き間違えたらエライことになりますね・・・。(Sandwich Expressを知らない人は、ぜひ検索してみてください)

THOMA:そう考えるとかなりの制約がありましたが、演技や作品と同じで 制約があるからこそ作りやすかった とも思っています。手書きでピエロの風合いや表情、姿勢に加え、上下の組み合わせなどを何パターンもはめて検討し…「絶対にこれだ!」と感じるものができました。 すぐにデザインデータに起こし修正し、色の組み合わせや立体感の調整などで、残っていた1週間をまるまるを使い切りました。実はこれでもかなり速い方だとは思うのですが、プロのデザイナーが複数人で…と考えると決して易しくない道のりでしたね。そもそもが、入稿を決めてから0から作っていますからね(笑)

ーーーそうですよね。自分はデザイナーではないという話もありますが、それでも数人で協力しながらデザインを1週間で完成させる、というのがいかに難しいかというのはとても理解できます。

THOMA:大変でしたけど、やってよかったなと思える内容でした。ちなみに、ピエロにリアリティを出すために、デザインはまず手書きで0から描き上げたんですよ。その描いたものをデザインデータに起こし、少し粗を削ってから「作り物になりすぎない」ように敢えて手書き風に再度リデザインをしています。 今では、自身でとても気に入るデザインになりました。

ーーーJokerのカードで、アイコンのようなシンプルデザインじゃないものだと、天地がないデザインって本当に珍しいと思うんですよね。なので、このデザインは可愛らしくて愛着が持てるのと同時に、機能性にも優れていて、本当に素晴らしいカードデザインだと思います。私も、非常に気に入ってるデザインです!

THOMA:ありがとうございます。ぜひ、Jokerを使うマジックを使ってもらえたら嬉しいです。

ーーー承知しました・・・!サンドイッチカード系のマジックは難しくて自分あまり得意ではではないのですが、これを気にもう少し力を入れて練習するように致します・・・!!

タックケースのデザインについて

ーーー今ずっとカードに関するお話をお伺いしてきたのですが、私個人的にはタックケースのデザインもかなりこだわりがあるのではないかな?とお見受け致しました。 先程後でお話聞かせてくださいと言っていた内容ですね!(前編参照) もしよろしければ、こちらのケースデザインのこだわりなども教えていただければ大変ありがたいのですが!・・・例えば、金の箔押しにされようと思われた理由などがお聞きしたいなと思っておりまして

THOMA:お、良い質問ですね!デックを作るとなると、バックの模様やスペードのAなどのデザインをメインに考えがちだと思うんですね。しかし、私は箱こそが全てと言っても過言ではないと思います。これは主に、ファーストインプレッションの観点ですね。

ーーーふむふむ(興味津々)

THOMA:例えば高級腕時計を考えてみましょう。同じブランドでも「このラインナップは人気があって、こちらは不人気」ということはよくありますが、性能に当たるムーブメント・・・つまり中身の仕組みのことですね。これは、共通のものであることはよくある話です。また「XX社の時計は最高だけどYY社は嫌いで〜」という利用者の声をよく耳にしますが、XX社の腕時計のムーブメントはYY社から提供を受けている、いうケースもよくある話だったりします(笑)

ーーーその例え、とてもわかりやすいです。車とかも中身のエンジン作ってる会社は一緒、とかもあったりしますよね。外見が違うだけで印象は180度変わりますが、本質は同じということが世の中結構溢れてる気がします。

THOMA:今回の場合は勿論腕時計ではなく、あくまでデックが対象になります。これは所詮は52枚の紙でしかなく、マークと数字がわかれば機能は達成できると思います。 なので、その52枚の紙に、「特別な意味や重みを持たせる役割」が箱、つまり腕時計でいう文字盤などにあたるのではないかと思いました。そのことから、バックデザイン以上に箱のデザインは外せないと考えていました。

ーーーカードのデザインはもちろんあれど、それをさらにこのデックがどういった商品なのか?の意味付けをもたせてくれる存在・・・ということでしょうか。確かに、私がマジックショップで新しいデックを購入する時は、箱の外観で雰囲気を掴んで購入を検討していますね。

THOMA:なので、ここをないがしろにしてはいけないなと思ったんです。またケースの紙質についてなんですが、マット素材を採用したいと思いました。これは、シークレットアディション等の支障にならず、また高級感を出すためにそうしようと決めました。バイシクルなどで見られるツルツルとした素材でない方が適しているという考えからですね。

ーーー(感心しながら頷く)

THOMA:また、ミニマルであると同時にハイエンドなものが良いと思っておりましたので、金箔を採用しようと思い、また余計な色は他に使わずに金箔だけで表現しようと決めていました。これは裏話なんですが、実はTWPC社にお願いできる金箔のカラーコードは20種類ほどありましてですね。その20種類のサンプルから今回吟味を致しました。

ーーー金箔の種類が20種類!そんなにたくさんの種類があるのですね。

THOMA:ここでは詳しいコードは言えないのですが、金の中でも緑色の要素を含むものを採用しました。そうすることで、ギラつきを抑えたクラシックな光沢に落ち着けることができました。また、赤/青/緑/黒など、どの箱にもマッチする配合というのも選ぶ観点に入れています。この辺りは「仮にカラーバリエーションを出すなら」という対応性を考えていたからですね。なのでもちろん、赤デックも青デックも共通の金箔を使用しております!

ーーー金箔の話だけでも、すごく貴重なお話がお聞きできました。さらに、ケース全体のデザインに関しても、わかりやすいお話でTHOMAさんの強いこだわりがあることをお聞きできて、大変良かったです!!

THOMA:ありがとうございます(笑)こちらもお話できて良かったです。

ーーー他にも何かケースのこだわりポイントとかってございますか?

THOMA:これは言ってもいいものか不安ですが・・・(笑)実は私、よく演技終了後にサインをお願いされることがあります。他のマジシャンの方もご経験がある方いらっしゃると思います。今まで何千回もやってきているので慣れたものではあるのですが、たかがサインといえど、その場の状況次第ではどうしても出来にズレがでることがあります。まあこれは直筆だと・・・そりゃそうですよということではあるとは思うのですが・・・。 なのでそのズレを避けるために「演技終了後そのまま箱に入れて差し上げる」ことができることから、側面にサインを施しました(笑) オシャレなデザインに見せ掛けて、自分のだらしなさを解消しています。申し訳ないです。

ーーーそんな、謝らなくとも!側面のサインはそんな秘密があったのですね!!今まさにおっしゃられたように、自分はデザインの一つとして入っているのだと思っていました(笑)いやでも、これは本当の本当に裏話としていいネタがご紹介できるかと思います!みなさん、この記事読んだら結構驚かれるんじゃないかと思います(笑)

THOMA:これ、言わないほうが良かったのかもしれませんかね・・・

ーーーとんでもないです!そんなことありませんよ。個人的には、インタビューで面白いところってこういうところにあると思っております。勿論、このインタビューではコンセプトやデザインに関するTHOMAさんの想いを聞くのがメインテーマにはなっております。しかし、アイスブレイク的な話題として、非常に面白いトピックだなと思いました!

THOMA:承知しました。ではそのまま載せちゃってください(笑)

ーーーはい、ありがとうございます!・・・でもこれだけTHOMAさんのたくさんのこだわりが詰まったデックを作ろうとすると、結構TWPC社にそのこだわりがうまく伝わらない!というようなトラブルなどは発生したりしませんでしたでしょうか?例えば、何かTWPC社とのやり取りで印象的だった出来事とかってございますか?

THOMA:そうですね・・・こちらからこだわりは時間をかけてお伝えできたので、トラブルと言うほどのことまでは至りませんでした。表現は色々とありましたが、向こうからは「もう大丈夫?」「完全に理解した?」という確認の旨の返答を何度も何度ももらっていたようです。 これはつまり、「この日本人細かくてしつこいな」と思われていたんだと思います(笑)

ーーーはっ!こだわった想いがあるからこそ、なんですけどね。でもしつこいと思われても、希望する注文をきちんと聞いて頂けたのであれば、全然良いのではないかと思いました。私もベトナムに住んで2年経つのですが、ベトナム人から「日本人は細かいことを気にする」と思われていると思います。が、そう思ってもらったほうが仕事しやすいですね。

ーーーでは、このようなTHOMAさんのこだわりがたくさん詰まったEDENデック、ずばりどんな方々に使用していただきたいでしょうか??

THOMA:すでに下は中学生から、上は30歳以上のパフォーマーや愛好家の方々にも触っていただけているようです。最近ではジャパンカップを制したAkio氏がたまたまTVで使用しているのを見掛けました。私の想いとしては、このように幅広く行き渡って、永く使われるのが理想ですね。

ーーー『今ちゃんの「実は・・・」』に登場されてた時ですね!自分も拝見致しました。本当に様々な方がご使用なさってますよね。

THOMA:また、大量生産のデックに比べるとやはり値は張りますが、普段身に纏うもので自身が格上げされる側面はあると思いますので、無理のない範囲で日常使いとして生活を彩って欲しいなと思っています。

マジシャンとして

ーーーEDENデックの様々な裏話、本当にありがとうございます。ここからは少しテーマを変えて、THOMAさんのマジシャンとしての側面にも迫ってみたいと思っております。

THOMA:承知しました

ーーーありきたりな質問で非常に恐縮ではあるのですが、マジシャンを目指されたきっかけをお伺いしたいです!

THOMA:高校生からマジックを始め、大学生〜社会人に入ってからも独学でのめり込み、ストリートマジックやレストランホッピングなどで演技させて頂いておりました。契機となったのは、26歳のときですね。たまたま当時自身がNo.1だと思っていた六本木のマジックシアターにご縁があり、レギュラーマジシャンとして合格することができました。それをきっかけに脱サラ致しました。

ーーーオーディションに合格なさったんですね!すごい。自信にも繋がりますよね。合格された当初、「よしこれからマジシャンだ!」と決断なさったのか、逆に脱サラされることに葛藤を抱かれたのか、でいうとどちらの心境だったのでしょうか?

THOMA:決断に時間は掛かりませんでした。もともと人を驚かせたり喜ばせたりというのが子供の頃から好きだったので、両親も特に驚いてはいなかったです。・・・事後報告にはなってしまいましたが(笑)。ある程度マジックを嗜む者であれば、若かりし頃に1度はプロになることを考えることはあるのではないかと思います。私の場合は本当にラッキーだった部分もありますが、後悔はしておりません。・・・ただ、一つ残念なことに現在はコロナでそのマジックシアターは廃業されてしまいました。

ーーーなんと・・・。やはりエンターテイメント業界においては、コロナというのは大きな影響を与えておりますね。

THOMA:とはいえ、こればかりはどうしようもない部分もあります。人生いろいろです。ビジネス感度、競合優位性、選択肢とリスクヘッジの重要性を痛感する結果となりました。

ーーーありがとうございます。そんなTHOMAさんの、「マジシャンとしてのこだわり」みたいなものがあれば、教えていただけないでしょうか?

THOMA:シンプルに表現すると・・・そうですね、「現象部分以外の深み」でしょうか。ただこだわりとはいえ、自分もまだまだ学びの身なので、道は遠いですが。

ーーー確かに、マジシャンの方々は技術もさることながらトークだったり、お客さんの盛り上げ方だったり、マジックのバックグラウンドに想像する余地を作ったり、様々な趣向を凝らしてらっしゃいますもんね。・・・そういえば、THOMAさんには憧れのマジシャンや、お会いしてみたいマジシャンの方っていらっしゃるのでしょうか?

THOMA:その質問、よく聞かれることが多いのですが、その際はいつも「おりません」と答えるようにしております。素晴らしいマジシャンは世の中に実際数多くいらっしゃいますし、こんな言い方をすると大変不遜な言い回しになって大変恐縮ですが。しかし、常にこのように答えることにしています。申し訳ないです。

ーーーいえいえ!とんでもないです。ご自身のスタイルを持っておられるのは、とてもかっこいいことだと、個人的には思っております。

THOMA:ただ・・・せっかく質問していただいたのに、こんな解答だと面白くないと思いますので、少し別の角度から回答させていただきます。 畏怖の念を抱いているのはガイ・ホリングワースですね。また、マジック含め永くお世話になっているのは福岡のDr.Zuma氏、現オズマンドのKiLa氏、Shingo氏、横浜ブラックボックスのオーナー横山氏、東京の北原氏、などでしょうか。

ーーーおお、私も知っている人たちがたくさん!マジシャンのみなさんのつながりを感じます。ありがとうございます。これはぜひ記事でもご紹介させていただきます!(しました!)

THOMA:はい、よろしくおねがいします。

ーーーさて、インタビューの内容も終盤に差し掛かってまいりました。少しTHOMAさんの内面に迫りたいと思うのですが、ずばり、マジック以外にTHOMAさんがお好きなことってございますでしょうか?

THOMA:腕時計が好きですね。あと、強いて言えば洋服や革靴、スーツなどでしょうか。それと今後自由を手にするためにも、投資・資産運用には本気で取り組んでいます。

ーーー腕時計、確かにTwitterでもよく話題に挙げられてらっしゃいますよね。私はあまり詳しくないのですが、THOMAさんが腕時計好きなお気持ちは凄く伝わってきます。あと、資産運用というのに驚きました。いかんせん私はその方面に全然詳しくないものでして・・・多角的にいろいろ考えておられ、すごいです。

THOMA:まだまだ、コロナ以外にもこれから何が起こるかわからない世の中ですからね。今からでも遅くはありませんので、ぜひ、皆様にもオススメしておきますよ!

ーーーは、はい・・・。勉強しないとですね・・・!(全然知識がない)では次の質問に参ります

THOMA:はい!

ーーー今、マジシャンを目指して練習している中高生に向かって、よろしければメッセージを頂けないでしょうか。エールでもアドバイスでもなんでも結構です!THOMAさんの経験値を踏まえ、お聞かせ願えればありがたいです。

THOMA:厳しいことも、現実的なことも、魅力的なことも、たくさんあるとおもいます。・・・が、まずは自分が好きなようにやってみてください!自分で責任を負う以上、必ず失敗するタイミングがあったり、後悔することもあるかもしれません。ただ、どんな結果であれ「資産」になるか「負債」になるかは「その時本気で全力かどうか」が分かれ目になるとおもいます。 ただでさえ人生百年時代と言われる世の中ですし、コロナなども含め何が起こるかわからない、変化の激しい時代です。マジックに惰性でなく、本気で、全力で臨んでいられるかどうか。それができないのであれば、真摯に堂々とライフワークとして他のことに全力で没頭するのも大正解だと思います。

ーーー実際にマジシャンとして働いてきたご経験からのお言葉、誠にありがとうございます。・・・では、最後の質問に参らせていただきます。そんなTHOMAさんにとって、 マジックとはどのような存在でしょうか?

THOMA:そうですね、

「殊勝な奇人変人のロマン」

でしょうか。解釈は・・・お任せいたします。

ーーーこの度は、お忙しい中インタビューにお答えいただき、誠にありがとうございました!

THOMA:こちらこそ、ありがとうございました!

編集後記

大変お恥ずかしながら、このサイトを始めた2021年2月当初、筆者はEDENデックとTHOMAさんを存じ上げておりませんでした。ある日、EDENの赤デックのレビュー投稿をTwitterでたくさん拝見し、そのみなさんいずれも絶賛されている状況を見て「そんなにスゴいデックが日本に!?」と大変興味を持ちました。同時に、作者であるTHOMAさん御本人が、デックについての話を語っておられてるのを見て、きっと生み出すまでに大変な苦労があったことも伺えました。筆者は海外に住んでいることもあり、購入は一筋縄では行かなかったのですが、EMS(=国際スピード郵便)の代行業者を通してデックを購入することに。

後日、実際にデックを手にすることが出来た時、そのレベルの高さに驚愕しました。ファンはスルスルと広がりますし、かといって滑りすぎてコントロールが効かないこともない。紙の薄さにも関わらずしなりもよく、ファローも簡単に入りました。まさにマジックのために作られたと言っても過言ではないデック。だんだん、私の中でTHOMAさんへ話を伺いたいという欲求が湧いてきました。

実際に依頼をさせていただくと、二つ返事でOKをいただくことができ、お忙しい中たくさんの質問にお答えいただきました。その中でも、デックづくりにかけたお話は大変熱く、私もその内容に興奮を感じました。ストイックなキャラクターから紡ぎ出される、妥協しない姿勢は、THOMAさんのマジシャンとして、また人間としての器をひしひしと感じました。 そんなストイックさをこのインタビュー記事から少しでもお伝えできたら幸いです。

EDENデックは御本人のサイト、もしくはインポッシブルカンパニーさんのサイトからでも購入することが出来ます。興味をもった方はぜひ、手に入れてみてください。 また、このインタビューだけでなく、THOMAさん御本人のTwitterのアカウントでもデックにまつわる詳細なご紹介をたくさんあげておられます。私の過去のレビュー記事でもご紹介しております。良ければチェックしてみてください!

THOMAさん公式サイト
http://www.thomagic.tokyo/

インポッシブルカンパニー EDEN赤商品ページ
https://theimpossibleco.com/ja/product/eden-red-edition/

当サイトでは、これからもマジシャンやクリエイターの方のインタビューを発信していきたいと思います。乞うご期待ください!