preloader
Knowledge

トランプのカットの向きについての話

トランプのカットの向きについての話

日常的にデックを使ってるマジシャンやコレクターの方々は、 「モダンカット」「トラディショナルカット」というワードを聞いたことがあると思います。 今回は、そのカットについて解説をしたいと思います。

ああ、勘違い

この記事を書くに至った経緯を最初にご紹介します。

筆者はカットの仕方がモダンとトラディショナルの2つがあることを前から存じていました。 しかし、長い間勘違いして覚えていたのです。

表から裁断したものを「トラディショナルカット」裏から裁断したのを「モダンカット」と通常呼びます。 しかし筆者は、これとは逆の覚え方をしていました。

自らの戒めのためにも、皆さんへ共有する意味でもトランプの正しい「カット」について、詳しく解説していきます。

※当サイトの「デックレビュー記事」のカットの向きは全て正しいものに修正されています

トランプの裏表とは

まずはじめに裏表の認識を揃えましょう。
そもそもトランプにおいて、表と裏(フェイスとバック)ってどっちがどっちなのでしょうか?

これは明確になっています。

任天堂のWebサイトでも明記されていますし、 USPCのPDF(6ページ目)でも書かれています。

そう、これは「数字やスーツが描かれている」のが「表=フェイス」であり、「すべてのカードが統一して書かれている柄」が「裏=バック」になります。

こっちが表

こっちが裏

「ブランクフェイス」というと、数字や絵が書かれていないカードを指しますし、 そもそものBicycleで言われている「ライダーバック」、Tally-Hoの「サークルバック」などと言われているように、 全カード統一した模様=バック=裏側だというのを思い出してもらえれば、 みなさんも納得していただけるかと思います。

カットについて

では、裏表の認識が揃ったところで本題に はいりましょう。
まずトランプが製造される時、52枚のカード達は1枚の大きなシートとなって印刷されます。

このシートに対して、裏側(バック側)から刃を入れるのか、表側(フェイス側)から刃を入れるのか? その結果によってモダンかトラディショナルか?の結果が変わってきます。

刃を入れると、眼には見えにくいですが「刃を入れた側のエッジが丸く」なり、「刃を入れてない側のエッジが鋭くなる」という特徴があります。 どういうことか解説します。

トラディショナルカット

トラディショナルカットとは、カードを裁断する時に表側(=フェイス側)から刃を入れて裁断されたものを指します。

この状態で上から刃を下ろして裁断したパターン。 主側カット前シート

すると表側のエッジが丸くなり、裏側のエッジが鋭くなります。 この場合にファローをしようと思うと、刃を入れた側を下にする(=デックの裏側を上にする)状態で噛み合せた時に入りやすくなります。

トラディショナルカット解説

つまり、マジックをする時に観客にカードがわからない状態(デックの上側が裏面になっている)でファローをすると、スムーズに行うことが出来ます。

モダンカット

それに対してモダンカットとは、カードを裁断する時に裏側(=バック側)から刃を入れて裁断されたものを指します。

この状態で上から刃を下ろして裁断したパターン。 裏側カット前シート

この場合にも同様にデックの裏側を上にしてファローをしようと思った場合、噛み合わせがやりにくくなります。
(勿論、無理ではないがちょっと手間がかかる)

トラディショナルカット解説

この状態でマジックをする時にファローしようとすると、観客にカードを見せた状態(=デックの表側を上にする)で、ファローをすることになってしまいます。 もしくは、噛み合わせていく方向を逆にするなどの対処が必要です。

慣れていけば特に問題ありませんが、一般的にデックをファローシャッフルする場合、下から噛み合せたほうがやりやすいです。 そのため、マジシャンは一般的に「トラディショナルカット」の方を好む傾向にあります

おわりに

マジックをせずに普通に大富豪やポーカーなどでカードゲームを遊ぶ場合、おそらくカットの向きを気にする人は殆どいないでしょう。 しかし、カードマジックのパフォーマンスをするとなると話が変わってきます。

マジック中は上記で述べたファローシャッフルを始め、ピンキーカウントやバックル・プルダウン、エスティメーション等々、様々な技法を使用します。 マジシャンは、己の指先の感覚とカードのかみ合わせ・滑り具合を利用しながらその技法を演じていくことになります。

「1枚のカードの位置がズレるとマジックが失敗する世界」では、この様なカットの向きが非常に重要になってきます。

当サイトのデックレビューのページでは、必ず「カットの向き」がどちらか? を掲載しています。 閲覧される時はぜひご参考になさってください。

引用