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好きという気持ちが知識を増やし、知識が感動を増やす

好きという気持ちが知識を増やし、知識が感動を増やす

カードマジックとデック集めが趣味の筆者が、ある時にふと気づいた話を皆さんに共有します。 マイノリティーな趣味に悩んだ瞬間がある人に、ぜひお読みいただきたい。

突然ですが

みなさんは、今までの人生で感動したことがありますか?また、それはどんなときでしたか?

・家族や友人の行動などに心打たれた時?

・素晴らしいストーリーの映画を見た時?

・眼前に広がる景色に目を奪われた時?

きっと、様々な場面が思い浮かぶと思います。それはきっと、どんな人にとっても心に残る素敵な思い出となってるに違いないでしょう。 筆者は持論ではありますが、そんな「感動」という現象は一部、好きから始まる知識が巻き起こす部分があるのではないかと思っています。

トランプの知識

マジシャンやデックコレクターの人はトランプのことに色々詳しい人が多いと思います。

カードマジックに興味を持ってトランプを触り始めるようになった時。今まで知らなかったカードの特性を知っていき、 「エンボス加工がされたトランプは滑りやすい」だとか「天地がないトランプのほうがマジックがしやすい」みたいな知識が身についてくると思います。

反対にそれまでトランプという存在は、「ババ抜きや大富豪をするツール」「テレビでマジシャンが使うもの」といった認識だったのではないかと思います。 そんな状態の時に、Bicycleのトランプを触っても「このトランプめっちゃ滑りやすいね」程度の感想しか抱かなかったかもしれません。

しかし、カードマジックやフラリッシュという技法を知っていった時、トランプが持っている特性にだんだんと興味が出てきます。

興味は知識を増やす

「カードマジックするならとりあえずBicycleを使え」

筆者はマジックの練習を始めた頃、そう教わりました。 最初は意味がわからなかったですが、カードが持つ滑りやすさ・紙の持つ弾力を実感し、その意味を理解していきました。

「世の中にはこんな素晴らしいトランプがあるのか」

そう思った筆者は、だんだん世の中で売られている様々なトランプに興味を持ち始めていきます。

時を同じくして、テレビではマジシャンの前田知洋さんが活躍し始め「Tally-Hoっていうトランプもあるのか!」と知ります。 華麗な指先のパフォーマンスに、すっかり前田さんの虜になってしまった筆者は、今度は「前田さんと同じトランプを使いたい」 という衝動に襲われます。

Bicycle、Tally-Hoだけでは満足せず、Beeを買ってみたり少しずつデックの持つ魅力に取り憑かれていきます。

「興味」という衝動が、どんどん知識を増やしていく。そんな瞬間でした。

知識は感動を増やす

やがて、積み上がっていった知識のおかげで、トランプの特性を色々知るようになります。 またそれをプロデュースしたマジシャンのエピソードを知ったりして、世界には沢山の魅力的なマジシャンがいることを知っていきます。

学校で隣の席に座ってる友達も、部活で一緒に練習している仲間も、みんなそんな世界があることを知りません。 でも自分は確実に、わずか手のひらに収まる「小さな54枚の紙」が自分の世界を広げてくれたことを知っているのです。

そうなると、どうなっていくのでしょうか?

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僅かな違いに気づくことができる

少し話は変わりますが、このサイトをご覧のみなさんは「Bicycle・ゴールドスタンダード」というデックをご存知でしょうか。 かの有名なギャンブラーでマジシャンであるリチャード・ターナー氏がプロデュースしたBicycleで 「オハイオ工場最後の傑作」とも言われているデックです。プロのマジシャンでも使ってる人が多い名デックですね。

このデックを初めて手にした時、筆者はとても驚きました。 カットの質が非常に良く、シャッフルやファローがとてもしやすい。 それだけでなく、手汗等で滑りが悪くなってきたデックも、数日休ませておくとまた質感が復活するのです。 当時の自分にとって、「なんてすごいデックなんだ」と思ったのをよく覚えています。

そう、ゴールドスタンダードはそれを触った私に「感動」を提供してくれたのです。 しかしどうでしょうか?ゴールドスタンダードを触って、

「カットの質が高いね!」

「ファンのやりやすさが復活するね!」

「総じてマジックがしやすいね!」

といった感情は、デックをある程度触ったものにしか訪れないものです。 普段トランプを触ったことのない他人は、きっとこのデックを手にしても感動することはないでしょう。

愛着と興味

他にも、
前田知洋さんの凄さを知ってる人間は、Tally-Hoに特別な感情を感じるでしょうし、 彼のモデルである「Gold Frame」というシリーズにはより一層のあこがれを感じるでしょう。

高橋匠さんのファンの方は、オズマンドデックを手にすることで特別な感情が生まれるはずですし、彼の特徴的な技法に強いあこがれを抱くはずです。

少し個人的な話になりますが、筆者はスクウェア社から昔発売された「クロノ・トリガー」というゲームが本当に大好きです。 スーパーファミコン・プレイステーション・Nintendo DS・Androidアプリ・iOSアプリその全てで遊びました。
(サントラも色んなバージョンを買いました。下の写真はそのひとつ)

そのゲームグラフィックに携わられた、本根さんが作られたトランプが世の中にあると知った時、ぜひ手に入れたいと思いました。 そして実際に手に入れた時、それもまた特別な感情を生み出しました。

サントラ

何が言いたいか

色々つらつらと書きましたが、 我々が何かに対して抱く「好き」という感情は新たな「興味」を生み出し、 また「興味」はさらに「知識」が増えることを助けていきます。 そして、その積み重なった「知識」は、自分たちの感動を生み出す「泉のような存在」になっていきます。

結論、 好きという感情は、将来自身へ感動を生み出すものとして返ってくるということ。
そして、無駄になる知識なんかなく、その知識のおかげで感情が生まれることがきっとあるということ。
それがこの記事で私が言いたかったことです。

何故こんな話を?

趣味が「カードマジック」「トランプを集めること」というのは、どちらかというとマイノリティーなものかもしれません。 周りに理解されないこともあるかと思います。少なくとも筆者はそうでした。

でも、この趣味のおかげで自分が沢山の喜びに出会えたことも事実でした。 やっぱり「カードマジックって素晴らしい」「トランプって非常に奥深い」というのはそうなんだと思います。

自分が好きなことに対して、「そのまま好きでいて良いんだろうか?」と悩んでる人(※昔の自分含め)がいたら そのままで良いと思いますよ、というのが伝えたくてこんなポエマーな記事を書いてしまいました(笑)

おわりに

趣味があるという事は、とても素晴らしいことだと思います。

そしてその趣味は何でも良いと思います。 たまたま、筆者の場合はそれが「カードマジック」と「トランプ収集」だったこと。

仕事で疲れて帰ってきても、誰かと喧嘩して嫌な思いをしても、恋人にフラれた夜も。
趣味の存在がその悲しみを軽減してくれますし、また、きっと新たな感動を持ってくることがあるのを信じています。

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