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自身のモチベーションを理解するヒント

自身のモチベーションを理解するヒント

仕事や勉強に向かう時にどうしてもモチベーションが上がらないっていう人や、他人のモチベーションのなさに悩んでいる人って結構いらっしゃると思います。 今回は、そのモチベーションと向き合い、理解する自分なりの方法を共有します。

Overview: この記事で伝えたいこと

「やる気が出ない」「何のためにやるかわからない」「やりがいを感じない」などなど、 様々な理由からモチベーションが上がらない瞬間ってあると思います。自分もよくあります。

今回はそんなモチベーションに対して、自分なりの「そもそもモチベーションって何?」という分析のヒントの提供と 行き詰まった時に自分の中で答えを出すお手伝いができるようにこの記事を書きます。

勿論、すべての人に等しく当てはまるものではないかもしれません。 ただ、この話をして自分の周りで共感してくれた方も一定数いらっしゃいましたので、 読んで頂いたみなさんにもぜひ参考になれば幸いです。

※これはあくまで、筆者個人の見解ですので、別に他の考えがあってもいいと思っています。

ジョージ・マロリーの名言

突然ですが、みなさんはジョージ・マロリーという人物をご存知でしょうか? 海外の著名人や山登りに詳しい人なら、知ってる方も多いかも知れません。

ジョージ・マロリー
画像出典:Wikipediaより

ジョージ・マロリーはイギリスの登山家で、人類で初めてエベレストの登頂に挑戦した方です。 彼は、彼自身よりも、彼の残した名言のほうが有名ですね。 それがこちらになります。

Reporter「Why did you want to climb Mount Everest?」
Mallory「Because it’s there.」

日本語に直すと、

記者「あなたは何故、エベレストに登りたかったのですか?」
マロリー「そこにあるからさ」

この言葉を聞くと「聞いたことがある」と思う方も多いのではないでしょうか。 日本では、よく誤訳された形として伝わっており
「なぜ山に登るのですか?」
「そこに山があるからさ」
という言葉で認識されてる方も多いかと思います。

話の流れから、マロリーの発言した「it’s」はエベレストを指しているのは明らかなので、 それが「山」として伝わったのは間違いな気がします (ただ、この発言そのものが実際にされていた保証もなく、本当にマロリーが発言したのかは謎です)

いずれにせよ、この言葉がマロリーのエベレスト登頂の気持ちを表した言葉として有名なのは事実です。

もう少し咀嚼してみる

さて、この発言が事実だったと仮定したとしましょう。 マロリーの解答は「なるほど」と思わせているようで、実のところ「よくわからない」印象を受けます。

「え、そこにあるから登るの?なんで?」
「エベレストがあったら、何故登りたいと思うの?」

という疑問を抱く人も多いハズ。なのでもう少し自分なりに噛み砕いてみます。 実際にマロリーはもうこの世にはいないので、真意を聞くことはできませんが、 一つの解釈としてお聞きください。

「it’s there」

このシンプルで強烈なフレーズは、先程述べたように「そこにエベレストが存在しているから」という意味に取れます。

ではなぜ、エベレストがそこにあれば登るのか。考えられるのは以下の部分でしょうか。

・そこにエベレストが(世界で一番高い山として)存在しているから
・そこにエベレストが(まだ誰も登頂した人がいない山として)存在しているから
・そこにエベレストが(私自身が未経験の山として)存在しているから
・そこにエベレストが(私の登山を楽しませてくれる山として)存在しているから

他にも考えられますが、パッと思いつくのはこんな感じです。

マロリーにとってエベレストは登るに値する存在であり、登った結果、彼に何かしらの幸福をもたらす存在である。 そしてそんな存在が実際にいるからこそ、「it’s there」につながったのかもしれません。

彼がエベレストに登るモチベーションが、きっとそこにあったのだと予想します。

行動原理の3種類

さて前置きが長くなってしまいましたが、人がなにか行動をする時のモチベーションは、自分は3種類あると思っています。

1. そのままだと日常が侵される心配があるため行動しなければいけないというもの
2. その行動を続けた結果、行く先に自分に利益をもたらす存在が待っているというもの
3. その行動をすること自体が、自分にとって利益をもたらすというもの

先程の登山に例えて言うなら、以下のイメージです。

1. 山に登らないと自分の状況がマイナスになるので仕方なく登りたい(津波が来てる、等)
2. 山の頂上に、自分が欲しいもの・欲しい栄誉が待っているから、それを手に入れるために登りたい
3. 山を登ること自体が大好きなので、山登りそのものを楽しみたいから登りたい

もっとシンプルに言い換えるなら、1はマイナスを回避するため、2はゴールにあるものを得るため、3は行動そのものを楽しみたいため、という具合ですね。

この3種類をそれぞれ、1の行動原理、2の行動原理、3の行動原理と呼ぶとしましょう。

果たしてマロリーはこの3つで言うとどれだったのでしょうか。

人によって行動原理は違う

ここまで文章を読んだ方は、この3つのモチベーション(=行動原理)を見て、 「ああ、なんとなくわかるかも」と思っていただける部分あったのではないかと思います。

例えば、友達からお願いをされたとしましょう。 そうですね、「サッカーのメンバーが足りないから選手で出てほしい」と言われた場合を想像してみましょう。

サッカーも人助けも好きな人は3の行動原理からすぐにOK!というでしょう。 気乗りしないけど、友達との関係を悪くしたくないから引き受ける人は1の行動原理でOKするかもしれません。 「今度昼飯奢るから!!」というのを言われて引き受けた人なら、2の行動原理からOKしたのがわかります。 どれも該当するものがなければ、そもそも断る人もいると思います。

大体の人がなにか行動を起こす時のモチベーションはこのような構成になっていて、 その時その時で自身で判断・選択を繰り返しているのではないかと思っています。

そして、それは人によって勿論異なります。

たまに「なんでこんなに楽しいイベントに参加しないの!?」 というような言われ方を筆者はされることがあります。

誘う側の友達にしてみれば3の行動原理を感じているにもかかわらず、自分は1・2・3どれも感じることができず、 断っているようなケースが発生しているのです。

みなさんも、自分と友達や家族の温度感が違うようなご経験、あるのではないでしょうか?

社会に出た時のギャップ

今、友達や家族と言いましたが、社会人になるとこのギャップを毎日のように感じるような場合もあります。 会社というのは価値観が異なる人間がとても沢山存在している場所です。 プラス、皆さん大人ということもあり、その価値観を変えることもなかなか難しい場所にあります。
(逆の言い方をすると、価値観が違うからこそ素晴らしい商品やアイデアが生まれる場でもあります)

例えば上司から「これはお前のためになるからやったほうが良い」という言われ方をして、 仕事の依頼をされたとします。向こうは2の行動原理を提示してきたわけですね。 それに賛同できたら勿論引き受ければいいですし、それとは違った3や1の行動原理を感じたりしても、 引き受けていいかもしれません。

ただ、そのどれも感じられなかった場合、つまり自分にとってモチベーションが全く無い仕事をさせられそうになった時。 そんな時は正直にもう少しコミュニケーションしましょう。 「やりたくない」と言うだけでは話が進まないので、「もう少しその仕事の魅力を教えて欲しい」だとか 「その経験をしておくと、後々どんな場面で役に立ちますか?」といったことを聞いてみましょう。 その上で、出てきた情報を更に加味し、最終的な結論を出してみましょう。

逆に自分が何かを人にプレゼンしなければいけなくなった場合、この行動原理を考えれば動機づけをしやすくなります。

・「この商品を買うと、今までできなかった〇〇が出来るようになります!」
・「この商品を買うと、こういったことが将来出来るようになります!」
・「この商品を買うと、毎日〇〇するのが楽しくて仕方なくなります!」

3が刺さらなければ2で攻めてみる。それでもだめなら1で攻めてみる、などなど。 良くないのは、2ばっかりの理由を並べたりしてしゃべることです。 ぜひ、色々な要素を織り交ぜながら喋ってみてください。この3種類全部の理由が言えれば、かなりの確率で相手に刺さります。

仕事を選ぶ時の基準

自分の将来の職業を選ぶ時も、この行動原理を理解して選んだほうが良いと思っています。

例えば、
・不況になっても食いっぱぐれないように、薬剤師を目指す!(1の行動原理)
・将来、日本で一番のお金持ちになりたいから起業する!(2の行動原理)
・マジックが好きで好きでたまらないから、マジシャンになる!(3の行動原理)

のように。

そしてここで陥りがちなのが、それぞれ別の行動原理を選んで職業をついた方々が、 お互いの仕事の価値観が合わずに揉めるケースです。

よくあるケースが
・「なんでそんなに仕事のやる気ないの?」
・「好きなこと仕事にしてるから良いでしょ?」
のような会話ですね。

1の行動原理で職業を選んだ人は、別に楽しいからその仕事をしているわけではなく、生きるためにしています。 それを3の行動原理で同じ職業を選んだ人が見ると「こいつやる気ないな」と見えてしまうわけですね。 また、その逆もしかりです。

仕事へのモチベーションが違って当たり前であるにもかかわらず、 その違いが生じていることを責める場面が生まれたりしてしまいます。なんとも悲しい時間です。 先程上記で触れた、モチベーションが感じられない仕事に対面した時もそうですね。

お互いの行動原理を理解した上で、尊重しあえるような人間になれれば、コミュニケーションも活性化しますし 尊敬の念も生まれやすくなると思います。

おわりに

ちなみに筆者の仕事はシステムエンジニアですが、これは私がパソコンとプログラミングが好きで仕方なかったからです。 (つまり3の行動原理ですね)

勿論マジックも大好きですが、当時それを仕事にするという選択肢は持ち合わせていませんでした。 でも、今の職業についたことを後悔はしていません。

1の行動原理の強みは、安定してパフォーマンスを出せること。
波の浮き沈みがあまりないというところですね。
逆に弱みはとてつもなく高いパフォーマンスは出しにくいこと。

2の行動原理の強みは、モチベーションのコントロールが比較的やりやすいこと。
目標を叶えるために今の行動を起こすので、途中で手段が変わっても気にしにくいです。
弱みは手段が変わった時に、周りから気まぐれとか魂を売った等と勘違いされやすいこと。

3の行動原理の強みは、好き・楽しいゆえにハイパフォーマンスを継続しやすいこと。
その行動をしているだけで楽しいので、誰に言われなくても自分でどんどんスキルをあげていけます。
弱みはメンタルの状況によってパフォーマンスが下がりやすいこと。

それぞれのメリット・デメリットを理解して、「自分は何にモチベーションを感じるかな・・・」と考えながら行動してみると 結構世界が変わって見えてくるかもしれません。